中期経営計画は必要か

企業の決算発表やIR資料を読むとき、しばしば「中期経営計画」を目にします。

中期経営計画は、企業が中期的に目指すべき姿、経営方針やビジョンと現状のギャップを埋めるための具体的な実行計画として策定されます。

中期経営計画を見てみると、企業ごとに特色があり、勉強にもなりますので、こと計画の必要性を頭の整理も兼ねて文章にしてみました。

なお、あくまでも個人の感想ですので、間違っている見解などがあってもご容赦ください。

 

経営計画とは

経営計画の体系は、以下のように区別して整理すると理解しやすいと思います。

経営理念・コーポレートメッセージ・経営方針

● 「価値観」・「企業メッセージ」であり、行動指針となるもの

長期経営計画、経営ビジョン(10年程度)

● 長期的に目指すべき姿、方向性

中期経営計画(3年~5年程度)

● 経営ビジョンを達成するために現状とのギャップを埋めるための具体的な実行計画

経営理念やコーポレートメッセージは、企業の根幹に根差すものであり、行動指針としての役割を担っています。

経営方針や経営ビジョンは、会社の長期的な方向性を示したものであり、その企業の成長戦略が示されていることが多いです。

最近では、持続可能な開発目標(SDGs)を見据え、2030年をターゲットとした経営の方向性を策定する企業が増えてきている印象があります。

これらの経営理念や長期経営計画・経営ビジョンは、大きな方向性を示しているのに対し、中期経営計画は具体的な実行計画が求められます。

上場企業であれば、売上や利益目標、ROE・などの数値目標に加え、配当方針などを織り込まれているのは一般的です。

中期経営計画は、3年~5年レンジで策定するのが一般的であり、経営方針・ビジョンを見据えた具体的な実行計画として作られていると理解しておきましょう。

経営計画体系イメージ(出典:http://www.tobu.co.jp/corporation/plan/long/)

中期経営計画を策定する目的は?

これは、上記で述べた経営計画の体系をイメージすると理解しやすいと思います。

一般的に年度予算や単年度計画は、現状維持の計画や現業機関が作った積み上げた計画に終始してしまいます。

当たり前の話ですが、次年度の計画を作るうえで新たな事業領域や突拍子もない成長戦略を描くことは難しく、現状からの積み上げを基に策定されていきます。

ただ、これらの計画をどれだけ伸ばしていっても、そこには企業としての大きな成長は見込めません。

中期経営計画は、長期的な成長戦略を描くために、経営方針からバックキャストで描いた未来と足元の計画から描いた未来を一致させ、成長性を織り込んだ計画を作るという点で意味があるものだと考えています。

中期経営計画にどのようなメッセージを込めるべきか

投資家向け

投資家が求める中期経営計画は、企業の成長戦略や配当方針が主なものになります。

これらの数値目標とその達成に向けたロードマップをいかに描けているかが、中期経営計画のひとつのポイントでしょう。

最近では、売上・利益だけでは数値目標としては乏しく、財務の健全性や投資効率といった投資家目線の指標をいかに加えることができるかがポイントです。

個人的には、営業CFや利益率、ROE辺りはマストで必要だと考えています。

従業員向け

もうひとつの側面として、自社の従業員へ企業としての成長戦略をアピールする重要な機会です。

企業が円滑に運営されるために必要なスキルのひとつは、現業機関の営業力や技術力です。

これらを支えている従業員が、誇りをもって働ける職場環境をつくるひとつの手段として、中期経営計画を活用することに大きな意味があるといえるでしょう。

中期経営計画をつくるポイントは?

中期経営計画を策定するうえでのポイントは、長期の成長戦略を達成するために、企業の経営資源配分を最適化することだと思います。

経営資源配分である「ヒト」・「カネ」・「モノ」は、どの企業にとっても有限のものです。これらをいかに配分するかによって、その企業が目指すべき方向性が明確かしていくことになります。

また、「ヒト」については、どのような組織体系にしていくかも重要なポイントです。

目指すべき成長の方向性と合致した最適化された組織となれば、あとはそれぞれの組織がその目標に向かって役割を果たしてくことができます。

「カネ」・「モノ」については、組織がきっちり決まっていれば、それに沿った重点配分をすることで、成長への戦略を描くことができるでしょう。

加えて、SDGsやESGの視点を投資家が重要視しているため、これをどこまで織り込むことができるかもポイントとなります。

最後に

中期経営計画をつくるのは莫大な時間がかかりますが、企業の成長戦略を後押ししていくためには必要な業務だと考えています。

我々が目にする中期経営計画は、意欲的でバラ色の未来が描かれていることが多々ありますが、その計画(夢か希望か妄想か?)がどこまで実現性があるものなのかを見極めるのも、ビジネスや投資に必要なスキルでしょう。

雑記の最新記事4件

NO IMAGE