画期的なコーヒー豆のグラインダーのデザインで知られるダグラス・ウェザーさんが手がけたカフェ「カマキリコーヒー」。
素敵な空間とハニー入りのカフェラテは、何度も足を運びたくなる衝動に駆られます。
そんなカマキリコーヒーが、【東映】の事業報告書に掲載されていましたので、気になって調べてみました。
会社概要
セグメントは、映像関連事業、興行関連事業、催事関連事業、観光不動産事業、建築内装事業、その他の事業。
映像関連事業は、映画事業、テレビ事業、ビデオ事業、コンテンツ事業、その他事業に細分化されています。
直近2か年と今年度の見通しは、以下の通りです。
(百万円、円、%)
決算年月 | 2018/3 | 2019/3 | 2020/3(予) |
売上高 | 124,317 | 137,038 | 123,600 |
経常利益 | 21,379 | 25,983 | 19,200 |
純利益 | 10,710 | 10,816 | 8,000 |
BPS | 12,471 | 13,442 | ― |
EPS | 848 | 856 | 634 |
自己資本比率 | 57.6 | 57.3 | ― |
営業CF | 15,799 | 20,049 | ― |
ROA | 3.9 | 3.7 | ― |
ROE | 6.8 | 6.4 | ― |
配当 | 43 | 70 | 60 |
2019/3期は前年比で増収増益ですが、2020/3期は減収減益の見通しを発表しています。
株価に関する指数は以下の通りです。
株価 | 15,150 |
PER(予) |
23.7 |
PBR | 1.1 |
配当予想 | 60 |
配当利回り | 0.4 |
(2019年10月9日現在)
株価は、年単位でみると緩やかな上昇を続けています。
2020年3月期の第1四半期決算は、前年同期比で増収増益となっていますが、映像関連事業部門が売上高の6割以上を占めるため、今後の映画やドラマの公開スケジュールを注視していく必要がありそうです。前期は、「ドラゴンボール超 ブロリー」「翔んで埼玉」が大ヒットしたため、その反動分が見通しに反映されているのでしょうか。。。
事業のポートフォリオは?
セグメント情報の通り、東映は不動産事業も実施しており、2019年2月に『福岡東映ホテル』をリニューアルオープンさせました。
『カマキリコーヒー』は、このホテルのロビーの横で営業しているため、事業報告書にも掲載されていたようです。
企業にとって事業のポートフォリオをどのように組むかは考えモノですが、基本的には中核事業とある程度の親和性や成長のシナジーがある領域を選んでいくものだと思います。
そう考えると、映像関連事業と興行・催事関連事業は親和性が高く、シナジー効果も発揮できそうですが、観光不動産事業と建築内装事業は事業内容が少し遠いところにあるような気がします。
1972年に事業目的に不動産売買・賃貸を追加し、1981年には不動産事業・ホテル網整備拡充を進めているようなので、時代の波に乗りながら、事業全体が総崩れするのを避けるために、ポートフォリオとして多角化していったという流れでしょうか。
セグメント情報でみると、セグメント利益は観光不動産事業が、映像関連事業に次ぐ2番目の利益となっており、全体の10%程度を占めています。
この辺の事業展開の意図や成長の方向性を知るには、中期経営計画が一番良いと思うのですがわ東映は中期経営計画を社外公表をしておらず、また、経営方針としてHP上に掲載している「東映グループ経営ビジョン2020」も内容は非常にあっさりしているので、この辺の本当の意図はわかりません。
東映の成長戦略を考えると、成長の柱は「コンテンツ事業」だと考えるのが自然でしょう。
売上高の68%程度を占める映像関連事業は、東映の屋台骨です。
「テレビ事業」は受注競争が激しいとの記載がありますが、テレビ朝日HDが持分法適用会社ということで、ある程度の受注の見通しはあるのではと勝手に推察してしまいます。
「映画事業」は、ヒットするかどうか博打の部分も多少ありますが、ドラゴンボール、仮面ライダー、プリキュアといった子供向けのコンテンツを保有していることから、一定の優位性は確保されているのではと思います。
「コンテンツ事業」は、Amazonプライム・ビデオをはじめとしたVOD(ビデオ・オン・デマンド)事業者向けのコンテンツ販売など、これから更に伸びていく分野だと思いますので、ここにどこまで資源投入できるかが成長の鍵だと思っています。
一方で、「ビデオ事業」の需要は、時代とともに衰退が予想されます。
屋台骨である映像関連事業は、ある程度の利益確保が可能な事業展開のように見受けられます。
興行関連事業、催事関連事業、観光不動産事業、建築内装事業に関しては、映像関連事業を支えつつ、一定の利益を確保するのに必要なポートフォリオとしての一角なのでしょう。
興行関連事業であるシネマ関係は、若干先行きは厳しい気もしますが、映像関連事業とのシナジーを期待したいところです。
東映全他のポートフォリオを考えてみると、一定の優位性をもった映像関連事業が主体であり、親和性のある興行関連事業と催事関連事業が脇を固めつつ、観光関連事業がリスク分散を兼ねつつ収益の確保に寄与しているといったところでしょうか。
日常の何気ない生活の中にも、新たな発見はたくさんあります。
今回は、時々足を運ぶカフェと東映との関係を調べるところから始めてみましたが、今後もきになったところを調べていきたいと思います。