映像事業、演劇事業、不動産・その他事業の3つを主体とする、総合エンタテインメント企業グループ 【松竹(9601)】 を調べてみました。
会社概要
1895年、創業。
1914年、歌舞伎座を直営化。
1920年、設立。(設立時の名称は帝国活動写真株式会社)
1969年、『男はつらいよ』シリーズの第一作目を公開。
2019年、『男はつらいよ』誕生50周年。
あなたの仕事は文化になる。
仕事に誇りと歴史を感じることができる新卒採用のキャッチフレーズです。
正直、グッとくるものがあります。
事業セグメントは、映像関連事業、演劇事業、不動産事業、その他。
直近2か年と今年度の見通しは、以下の通りです。
(百万円、円、%)
決算年月 | 2018/2 | 2019/2 | 2020/2(予) |
売上高 | 92,878 | 90,827 | 98,100 |
経常利益 | 5,774 | 4,054 | 4,500 |
純利益 | 3,749 | 2,596 | 2,870 |
BPS | 6,730 | 6,714 | ― |
EPS | 272 | 189 | 208 |
自己資本比率 | 45.4 | 44.2 | ― |
営業CF | 9,637 | 6,630 | ― |
ROA | 1.8 |
1.2 |
― |
ROE | 4.1 | 2.8 | ― |
ROIC | 1.8 | 1.2 | ― |
2019/2期は、前年比で減収減益です。
2020/2期は、前年比で増収増益の見通しです。
収益の柱は不動産事業です。
歌舞伎座が持分法適用会社として連結されています。
株価等に関する指数は以下の通りです。
(円、億円、倍、%)
株価 | 15,900 |
時価総額 | 2,192 |
PER(予) |
76.4 |
PBR | 2.4 |
配当予想 | 30 |
配当利回り(予) | 0.19 |
(2019年11月8日現在)
直近1年間の株価は、堅調に推移しています。
事業内容だけを考えると、株価は割高に見えてしまいます。
株価もエンタテインメント?
松竹は、目標とする経営指標を以下の通り公表しています。
当グループの中核事業である劇場用映画および演劇は予想と実績の乖離が大きく、このため特定の経営指標をもって目標とすることはせず、安定した収益基盤を着実に強化していくことが第一と認識しております。
簡潔にまとめると、「目標を作るのが厳しい状況です。」というところでしょうか。
映像関連事業を生業とする企業に共通しているのは、年度によって業績の浮き沈みが激しいことです。
この浮き沈みへの対応策が、その会社の成長戦略といっても過言ではないでしょう。
最も効果的かつ理想的な対応策は、継続的にヒット作を生み出し続けるコンテンツを保有することです。
各企業が保有しているコンテンツは、その企業の競争力の源泉になります。
● 仮面ライダー
● プリキュア
● 相棒 など
● 劇場版名探偵コナン
● 劇場版ドラえもん など
東映も東宝も、幅広い年齢層に支持されやすく、海外展開も可能なコンテンツを保有していることがわかります。
一方で、松竹が保有しているコンテンツは、『歌舞伎』や『男はつらいよ』です。
東映と東宝と比較してみますと、保有しているコンテンツとしては分が悪いように思いますが、製作・興行をほぼ独占している『歌舞伎』を『KABUKI』として、積極的に海外展開を推進しています。
松竹が飛躍的な成長を遂げるきっかけがあるとすれば、『KABUKI』だと思います。
インバウンド需要を取り込み、日本の文化として『KABUKI』が世界中に浸透すれば、株価も歌舞いてくれるのではないでしょうか。
社会的な歌舞伎ブームがくることを期待しつつ、業績を追いかけていこうと思います。